日本企業における経営理念の国際志向性と国際化の関係に関する実証分析

曽我寛人(釧路公立大学)

日本企業の経営理念における国際性やグローバル性が企業の国際化に与える影響について実証分析を行った。まず、経営理念に関する文献レビューを行い、経営理念が社会的な役割について示す側面、従業員の行動規範を示す側面、経営の方針を示す側面の3つを有するものであることを示したうえで、国際性という経営の方針を示しているのであれば企業の国際化が進展するという仮説を立てた。仮説検証のための分析を行ったところ、国際志向的な要素を含む経営理念を掲げる企業においては、そうでない企業と比べて、企業の国際化を示す海外売上高比率が高いということが示された。また、経営理念における「国際」の単語は海外売上高比率に有意な影響を及ぼさない一方で、経営理念における「世界」・「グローバル」の単語は、海外売上高比率に有意な影響を及ぼすことが示された。

曽我寛人(2021)「日本企業における経営理念の国際志向性と国際化の関係に関する実証分析」『日本貿易学会研究論文』10号, pp.1-14.