中小企業の維持・発展と地域経済の活性化に向けて―地場産業の中小企業を中心に―

山本 篤民(日本大学)

 近年、地場産業製品の多くは、国内需要の低迷やライフスタイルの変化にともなう需要の減少、海外からの安価な輸入品の増加などにより、売上減少を余儀なくされている。しかし、その一方で地場産業製品が見直され、再評価される機運も高まっており、実際に売上を伸ばしている製品もみられる。代表的なものとしては、今治タオルや三条刃物、南部鉄器などがあげられる。
 これらの地場産業製品を手掛けている中小企業は、従来の技術・技能を活かしつつも、産地外の人材との接触を通してアイデアやアドバイス受けて、新製品開発やブランド構築にあたっている。このような取り組みを通して、地場産業製品の新たな市場を創造している。需要が低迷していた地場産業製品を手掛けている中小企業であっても、市場を創造することを通して、経営を維持・発展させる可能性があることを示した。

山本篤民(2020)「岩手県盛岡・水沢の南部鉄器産地」長山宗広編著『先進事例で学ぶ地域経済×中小企業論』ミネルヴァ書房
山本篤民(2018)「中小企業の維持・発展と地域経済の活性化に向けて―地場産業の中小企業を中心に」『日本経営学会論集』第37号