中小企業とオープンファクトリー:墨田区の「スミファ」の事例からみる越境学習と地域 交流

許 伸江(跡見学園女子大学)

 オープンファクトリーと呼ばれる地域の工場見学イベントが全国各地で行われている。台東区の南部の「モノマチ」は2011年、墨田区の「スミファ」は2012年に始まった。また、2019年には葛飾区で「かつしかライブファクトリー」もスタートしている。これらの東京都の東部地域の地域イベントは、どのような背景で開催されるようになったのか。またその効果はどのようなものか。本論文では、「スミファ」の参加企業28社のうちの10社、そして区役所や実行委員会の方々にヒアリングを行い、その内容をまとめたものである。
 スミファに参加して得られた効果の共通点は①社員への教育効果、②地域へのPRと交流、③受注につながる、④採用につながるという4点が挙げられた。
 また、モノマチ、スミファ、かつしかライブファクトリーの3つのイベントでは、ゲートキーパーであるキーパーソンの存在や、地域コミュニティの形成とそこから広がる人脈、そして越境学習などの概念に焦点をあて、分析を行った。

許伸江「中小企業とオープンファクトリー―墨田区の「スミファ」の事例からみる越境学習と地域交流―」『商工金融』商工総合研究所、2020年2月